「本当は、違うことのおかげ」――見えない貢献と、AIの成果の測り方

手のひらの上に浮かぶハートの雲
この記事の結論
成果は最後のひと押しだけのおかげではない。AIの効果も、速くなった1工程ではなく会社全体の粗利で確かめよう。
この記事でわかること
  • 見かけの成果の陰には、見えない貢献がある
  • 全体最適の成果は、流れ全体に取り組んだ集団のおかげ
  • AIの効果は、短縮時間ではなく会社全体の粗利で測る
目次

こんにちは、ワビタンです。

「ありがとう」と言ったあとで、ふと思うことがあります。本当は、別の誰かのおかげだったんじゃないか、と。

今日は、見かけの成果の陰に隠れた「本当のおかげ」の話を、ネット広告とTOC、そしていまのAIの話につなげて考えてみます。

最後に目立った人が、ほめられる

たとえば、クラスの中のいじめをなくそうと、勇気を振り絞って最初の一歩を踏み出した生徒がいたとします。それに続いて、ほかの生徒も少しずつ動き出す。そして最後に、目立つのが好きな生徒が先生に話し、問題が明るみに出て解決する。

先生は、最後の生徒をほめます。本当はみんなの協力で解決したはずなのに、「最後の生徒のおかげ」になってしまう。生活の中には、こういうことがけっこうあります。

教室で手を挙げる生徒たち

ネット広告でも、同じことが起きている

私は長く、PPC広告(ネット広告)の運用とコンサルをしてきました。そこでも、まったく同じことが起きます。

趣味のブログを何気なく見ていて、バナー広告をクリックする。サイトを訪れたあと、リマーケティング広告が追いかけてくる。「こんな商品があるんだ」と思って、商品名で検索する。もう少し詳しく知りたくなって、言葉を足して検索し直す。そして最後に「あ、またこのサイトだ」と感じて、購入する。

このとき、アクセス解析が「成果」として数えるのは、最後に検索したキーワードです。アシスト機能を見れば途中の流れもわかりますが、パッと目に入るのは最後のひと押しだけ。本当のきっかけは、最初のバナー広告だったのにです。

成果は最後のひと押しだけのおかげではないことを示す図。広告のきっかけから購入までの流れ

TOCでいう、部分最適と全体最適

TOC(制約理論)には、「部分最適」と「全体最適」という言葉があります。それぞれの持ち場の効率を上げるのが部分最適。全体を見渡し、制約(ボトルネック)に集中して全体を良くするのが全体最適です。

では、全体最適で成果が上がったとき、何のおかげでしょうか。ボトルネックのおかげ? それを手伝ったまわりのおかげ?

どちらか一方ではないはずです。成果を落としていたのはボトルネックの「せい」ではなく、成果を上げたのもボトルネックの「おかげ」ではない。全体の流れを見渡して、全体最適に取り組んだ集団のおかげです。目の前に見える現象が、本当のことをすべて物語っているわけではないんです。

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AIの成果も、「最後のひと押し」で測っていないか

ここからは、いまの話です。

AIを社内に入れると、「この作業が何時間短くなった」という数字がすぐに出てきます。わかりやすいし、うれしい数字です。でも、それは最後のひと押しだけを見ているのと、少し似ています。

短くなったのは、その工程だけかもしれません。その先で確認待ちがたまっていたら、会社全体の成果は変わっていない。反対に、AIのおかげに見える成果の陰には、資料を整えた人、使い方を工夫した人、最後に確かめた人がいます。

だからこそ、AIの効果は「全体の成果」で確かめたいんです。TOCでは、売上から材料費などの変動費を引いた「粗利」が、会社全体でどれだけ増えたかを見ます。一つの工程の時間ではなく、会社の粗利が増えたかどうか。そこで初めて、本当のおかげが見えてきます。

見えないおかげに気づくための、3つの問い

  1. この成果は、流れのどこから始まったか。最初のきっかけまでさかのぼってみます
  2. この成果を支えた、見えない工程はどこか。AIの前後で、人が調整していた仕事を探します
  3. 会社全体の粗利は、本当に増えたか。1つの工程の数字だけで判断しないようにします

「ありがとう」と言ったあとで、陰の「ありがとう」の存在に気づける自分でありたい。これは、私自身もまだできていないことが多いので、心がけていきたいと思っています。

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※AIの進化はとても速いため、少し前のコラムでは前提が変わっていたり、今では当てはまらない内容になっていたりすることがあります。すべての記事を常に最新に保つのは難しいため、取り入れるときは最新の情報もあわせて確認してください。ここでは、私自身が実際に試して効果があったことを、その都度お届けしていきます。なお、TOC(制約理論)の基本の考え方は、AIが進化しても大きくは変わりません。

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