バラバラのAIが走り出す日 ― 利益からの逆算と「親方チャット」で全体最適へ

バラバラのAIが走り出す日 ― 利益からの逆算と「親方チャット」で全体最適へ
この記事の結論
利益から逆算する仕組みで数字が見えると、経営者の意識と行動が変わります。そのうえで、増えたアプリやデータを「親方チャット」のもとにまとめ、ゴールから逆算して全体最適へ。現場を見極めながらAIを活かすのが、伴走するAIディレクターの仕事です。
この記事でわかること
  • 利益から必要な受注数を逆算できると、「原価が上がっても仕事を通す」「広告をやる」「毎日投稿する」意味が実感として分かる
  • アプリやデータが増えるほどバラバラになりやすい。親方チャットを頂点に、役割を持ったサブエージェントで全体をひとつの流れにする
  • 全体を見通すモデルで徹底分析し、提案は文章ではなく図(組織図)で共有すると、一気に腹落ちする
目次

毎月のAI顧問の日

今日は、毎月のコンサルの日でした。
お相手は、制作サービスをネットで全国から受けている事業者さんです。

月に一度、一緒に画面を見ながら、AIをどう仕事に活かしていくかを考えています。
私の立場は、いわば伴走する「AIディレクター」です。

ここまでの歩み

この方とは、少しずつ段階を踏んで進めてきました。

最初に取り組んだのは、「コンテキスト化」です。
Claudeへのプロンプトや、ご自身の事業の状況を、AIが読み取れる形に整えていく作業です。
そのために、Notionでデータベースをつくり、ClaudeとMCPで連携させました。
いまでは、事業のデータがAIから参照できる、ちょっとした「事業のビッグデータ」のような状態になっています。

前回は、ClaudeにPythonのWebアプリを組んでもらいました。
1つは、予実管理をしながら、利益から逆算するアプリ。
もう1つは、制作をどのくらいのスピードで進めればいいかを見る、現場管理のアプリです。
どちらも、Notionで一元管理できるようにしました。

ほかにも、WooCommerceからの受注データの取り込み、Googleアナリティクスのデータ管理、LINEでの見積もり・問い合わせアプリなど、かなり高度なところまで進んでいます。

コンテキスト化、アプリをつくる、データをつなぐ、全体最適へ、の4段階で進めてきたAI伴走の歩みを示した図

「利益からの逆算アプリ」で、意識が変わった

今日、とてもうれしい言葉をいただきました。
「利益からの逆算アプリを作ってから、明らかに自分の意識が変わった」と。

1つ目は、原価が上がっていても、仕事を通すことが大事だと実感できたこと。

原価が上がると、つい「この仕事は割に合わないかも」と迷ってしまいます。
でも、売上から原価を引いた粗利がプラスなら、その仕事を受けたほうが、会社に残るお金は増えます。
家賃や人件費といった固定費は、仕事を受けても受けなくても、毎月かかるからです。
TOCやMQ会計でいう「1件ごとの利益率より、全体でいくら残るか」という見方です。
アプリで数字が見えるようになって、これが頭ではなく、実感として分かったそうです。

原価が上がった仕事を断る場合と通す場合で、会社に残るお金を比べた図。固定費は変わらないため、粗利がプラスなら通したほうが多く残る

2つ目は、広告をしっかりやる決意ができたこと。
目標の利益から、必要な受注数が逆算できるようになりました。
必要な受注数が分かれば、必要な問い合わせの数も見えてきます。
「なんとなく広告を出す」から、「この数を取りにいくために広告を出す」に変わったんです。

3つ目は、日々の投稿の大切さを感じるようになったこと。
問い合わせの入口を増やすことが、利益につながっている。
その道すじが見えたからこそ、毎日の発信にも意味が出てきたのだと思います。

目標の利益から必要な粗利、必要な受注数、問い合わせ数、広告・投稿へと逆算していく流れを示した図

バラバラを、ひとつの流れに

ただ、ここまで進むと、別の課題も見えてきます。
アプリやデータが増えるほど、それぞれがバラバラに動いてしまうんです。

受注のデータ、アクセスのデータ、問い合わせのアプリ、利益のアプリ、現場のアプリ。
1つずつは便利でも、全体として見通しが悪くなる。
TOCでいえば、部分最適が積み重なっている状態です。

そこで今日は、いよいよ「親方チャット」を指名しました。
ゴールから逆算して、プロジェクトを解決していく。そのためのハーネス環境づくりに着手してもらったんです。

全体を見通すために、モデルを選ぶ

今回は全体を見通す力が必要だったので、モデルはFable 5.1に設定しました。
まずは、現状の分析を徹底的にやってもらいました。

最初に出てきた提案は、Artifactsで分かりやすく見える形にしてもらいました。
ただ、それでもまだ文章が多かったんです。

そこで、「大まかなアウトラインを図式化して、Artifactsで出して」とお願いしました。
すると、組織図がすっきりと出てきて、一気に分かりやすくなりました。
親方チャットを頂点に、それぞれの役割を持ったAIがぶら下がっている。
誰が何を担当しているのかが、ひと目で分かる図です。

現状分析、Artifactsでの提案、アウトラインの図式化、組織図で腹落ち、の4ステップで伝わり方が変わることを示した図

「サブエージェントの意味が、やっと分かった」

クライアントさんからは、こんな感想をいただきました。

「これで、今までバラバラになっていたものが、しっかり走り出すエージェントになりそう」
「サブエージェントの意味合いも、やっと把握できた」

バラバラだった受注データやアプリを、親方チャットを頂点に受注・集客分析・見積もり・利益・制作進行のサブエージェントでまとめた組織図のイメージ

言葉でいくら説明しても伝わりにくかったことが、図になった瞬間に腹に落ちる。
AIの環境づくりでも、「見える化」の力は大きいと改めて感じました。

伴走するAIディレクターの仕事

もちろん、実際に動かしてみてこそ分かることも、たくさんあると思います。
大事なのは、ここからです。

現場の状況を見極めながら、AIを活かしていく。
数字が見えて、意識が変わり、行動が変わる。
そして、バラバラだった仕組みを、ひとつの流れにまとめていく。

これこそが、いま私が考えている「伴走支援のAIディレクター」の仕事のひとつだと感じています。

あなたの会社のAIやアプリは、ひとつの流れになっていますか?

※AIの進化はとても速いため、少し前のコラムでは前提が変わっていたり、今では当てはまらない内容になっていたりすることがあります。すべての記事を常に最新に保つのは難しいため、取り入れるときは最新の情報もあわせて確認してください。ここでは、私自身が実際に試して効果があったことを、その都度お届けしていきます。なお、TOC(制約理論)の基本の考え方は、AIが進化しても大きくは変わりません。

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