← AIディレクター ― AIに任せられる仕事の場をつくる に戻る

AIに仕事を頼むたびに、会社のこと、お客様のこと、いつもの書き方を一から説明していませんか。説明に時間がかかるうえ、毎回少しずつ違う答えが返ってくる。これでは、AIを使うほど疲れてしまいます。

この状態から抜け出す方法が、AIへの手順書です。会社のやり方と判断の基準を一度書いておけば、AIは毎回それを読んでから仕事を始めます。「ハーネス環境のつくり方」の3つめの要素を、くわしく見ていきます。

手順書は「新人に渡すマニュアル」と同じ

AIへの手順書といっても、特別な書き方があるわけではありません。入社したばかりの新人に「この仕事は、こうやってね」と渡すマニュアルと同じです。

違いは1つだけ。新人は分からないことを聞き返してくれますが、AIは書いていないことを、それらしく埋めてしまうことがあります。だからこそ、判断の基準まで書いておくことが大切です。

AIへの手順書に入れる5つのこと:目的と読み手、手順、判断の基準、言葉づかいと禁止事項、良い見本

手順書に入れる5つのこと

1. 目的と読み手

この仕事は何のためにやるのか。できあがったものを誰が読むのか。目的が分かると、AIは細かい判断を目的に合わせてくれます。

2. 手順

いつも人がやっている順番を、そのまま書きます。「まず○○を確認し、次に○○を書く」のように、番号を振って短く書くのがコツです。

3. 判断の基準

何ができていればOKで、何があればやり直しか。ここが手順書の心臓部です。確認する人の頭の中にある基準を、言葉にして書き出します。

4. 言葉づかいと、やってはいけないこと

会社らしい言葉づかい、使ってはいけない表現、約束してはいけないこと(値引き、納期の確約など)を書きます。

5. 良い見本

過去にうまくいった実物を1〜3件入れます。説明を10行書くより、見本が1つあるほうがAIには伝わります。

悪い例と良い例:お問い合わせへの返信

お客様からの問い合わせに返信する仕事を例に、手順書の違いを比べてみます。

お問い合わせへの返信を例にした、手順書の悪い例と良い例

悪い例

お問い合わせに丁寧に返信してください。

これでは、AIは「一般的に丁寧なメール」を書くしかありません。会社の事情を知らないので、できない約束をしてしまうこともあります。

良い例

【目的】問い合わせへの返信の下書きを作る。送信は担当者が行う。
【読み手】初めて問い合わせてきた、地元の中小企業の経営者
【手順】
1. 問い合わせの内容を1行で要約する
2. 質問に答える(分からないことは「確認してご連絡します」と書く)
3. 次の一歩を1つだけ提案する(無料相談の日程など)
【判断の基準】
・質問にすべて答えているか
・料金と日程は、料金表とカレンダーの内容と一致しているか
・全体で400字以内か
【やってはいけないこと】
・値引きや納期を約束しない
・専門用語を説明なしで使わない
【見本】(過去の返信メールを2件貼る)

ここまで書いておけば、担当者が確認するのは「判断の基準」の3点だけで済みます。

TOCの思考プロセスで見ると:ルールには必ず「なぜそうするのか」という前提があります。手順書に「値引きを約束しない(なぜなら、値引きの判断は社長がするから)」のように理由まで書いておくと、AIは書いていない例外の場面でも、前提に沿った判断がしやすくなります。

この記事の内容を、自社で確かめるなら

特典3

ザ・ゴール式 AI活用5ステップ 早見表

AIを本格的に入れるのは「4番目」。効果が出る会社が守っている5つの順番を、1枚にまとめました。

LINEで無料で受け取る

友だち追加後、トークでゴールと送ると届きます

手順書は「育てる」もの

最初から完璧な手順書を書く必要はありません。最初は1ページで十分です。

  1. 手順書を使って、AIに仕事をしてもらう
  2. できあがったものと、期待していたもののズレを見つける
  3. ズレの原因になった1行を、手順書に足す

この3つをくり返すと、手順書は会社のやり方を少しずつ覚えていきます。手順書を直す担当者を1人決めておくと、育つ速さが変わります。

手順書の置き場所

多くのAIサービスには、指示書をあらかじめ保存しておく機能があります(「プロジェクト」「カスタム指示」「スキル」など、サービスによって呼び方は違います)。ここに手順書を入れておけば、毎回貼り付ける必要がなくなります。

どの機能に入れるかよりも、社内の誰が見ても同じ手順書が使われていることが大切です。人によって違う指示を使っていると、AIの仕事の質もばらつきます。

そのまま使える手順書のひな形

【この仕事の目的】
【できあがったものを読む人】
【手順】
1.
2.
3.
【判断の基準(ここを満たせばOK)】
・
・
・
【言葉づかい】
【やってはいけないこと(理由も書く)】
・     (なぜなら     )
【良い見本】

どの仕事の手順書から作るかは、「AIに任せる仕事、人が決める仕事の分け方」で解説しています。

自社の仕事に合わせた手順書づくりや、社内での使い方の研修も行っています。