こんにちは、ワビタンです。
ソフトパワー研究所の清水先生が開発した「TOCダイスゲーム」を使った研修を、何度も担当してきました。サイコロを振って工程に仕事を流していくと、会社の中で何が起きているのかが、目の前のチップの動きとして見えてくるゲームです。
ある2日間の研修で、私がいちばん力を入れたのが「問いのデザイン」でした。

学びを「自分事」にする、3つの流れ
研修で大切にしているのは、次の3つを、なめらかにつなげることです。
- ゲームで分かったこと 盤の上のチップの動きを、目に焼き付ける
- 理論で分かったこと TOCの考え方と、ゲームの体験をつなげる
- 自分事に生かすこと 自分の会社や仕事に置き換えて考える
この流れを途切れさせないために、ゲームの合間に問いを投げかけ、話し合い、すぐにシートに書き込んでもらう。この「振り返り(リフレクション)」を、毎回ていねいに行いました。
「なぜ、バランスのいい会社がつぶれるのか」
第1ゲームのあとに投げかけた問いです。
需要は1日70個。それにぴったり合わせて、どの工程も70個作れる力を持たせた会社です。それなのに、なぜかちゃんと出荷できない。
「私のサイコロの出方が悪かったんだ!」「隣のグループと比べて、在庫にずいぶん差があるぞ」「このサイコロが悪い」。笑いまじりに、サイコロの練習を始める人まで出てきます。
ここで大事なのは、答えを急がないこと。まずは「このゲームの中で何が起きたか」を、盤の上のチップの動きから冷静に見てもらいます。そのうえで、『ザ・ゴール』のマンガの場面や、「仕事は7割で回す」という考え方などを紹介しながら、理論につなげていきました。
効率化したのに、なぜうまくいかないのか
第2ゲームは、効率化のために設備投資をした会社の再現です。
「需要に合わせて生産能力を上げたはずなのに、みんな忙しくなっているぞ」「残業もたくさんしたのに、利益が出ていない」「むしろ、銀行からお金を借りなきゃならなくなった?」
さらに、会計のやり方によって利益の見え方が大きく変わることにも、驚きの声が上がりました。現金は足りないのに、帳簿の上では利益が出たことになり、税金がかかる。直接原価と全部原価の違いが、こんなにはっきり見えるのかと。
この記事の内容を、自社で確かめるなら
AI導入で忙しさが減らない会社の「3つの制約」チェックシート
15の項目にチェックするだけで、御社の仕事の流れを止めている制約がどこにあるかがわかります。
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制約に合わせて流すと、何が変わるのか
そして第3ゲーム。TOCの「ドラム・バッファ・ロープ(DBR)」の考え方で、制約に合わせて仕事を流します。
「1週目から、なんだかすごくスムーズじゃない?」「あれ、全然残業しないぞ」「忙しく働いている感じがしないのに…」
計算してみると、驚くほどの利益が出ていました。ここで初めて第2ゲームとの比較の話になり、「ボトルネック」「最初の工程の投入がすべて」といったキーワードが飛び交って、話し合いが一気に盛り上がりました。

最後は3時間をかけて、自分の会社の業務フローを書き出しました。「会社全体の流れ」「業務の流れ」「マニュアル」の違いをいつもよりていねいに伝えたおかげで、一人で仕事をしている人が「家で会社全体の流れも書いてみたい」と話してくれたのが印象的でした。

「会社は、人である」
この研修には、岩手のネットショップ「なでしこスタイル」のスタッフの皆さんも参加してくれました。大寒波で前泊も後泊も必要になり、負担をかけてしまったのに、「業務フローの紙を、もう1枚いただけませんか」「今日の見直しを、帰ってからやりたいんです」と、キラキラした目で話してくれました。
参加した農園の社長さんからは、「TOCの前提である『人はそもそも善良である』を実感できた」という感想もいただきました。会社は、あらためて「人である」と感じた2日間でした。
AIが答えを出す時代こそ、問いをデザインする
ここからは、いまの話です。
いまは、わからないことがあれば、AIに聞けばすぐに答えが返ってきます。便利になった一方で、研修をしていて気になることがあります。答えにすぐたどり着けるぶん、「自分事にする」工程が飛ばされやすいんです。
ダイスゲームでいえば、チップの動きをじっくり見る前に、正解を聞いてしまうようなもの。わかった気にはなるけれど、自分の会社に置き換える力は育ちません。
だからこそ、AIは「答えを出す道具」ではなく、問いを返してくれる相手として使うのがおすすめです。
- ゲームで分かったことを、AIに言葉にしてもらう。「いま見たことを、整理して」と頼み、観察を言葉にします
- 理論とのつながりを、AIにかみ砕いてもらう。わからなかった用語を、体験にそって説明し直してもらいます
- 「あなたの会社では?」と、AIに問いを返してもらう。答えではなく、自分で考えるための質問を出してもらいます

業務フローの下書きも、いまならAIが手伝ってくれます。でも、どこが詰まっているかを見きわめるのは、現場を知っている人たちの話し合いです。AIに下書きを任せ、空いた時間をみんなで流れを眺める時間に回す。それが、AI時代のTOC研修の形だと思っています。
自社でもダイスゲームや業務フローのワークをやってみたい、という方は、オンラインで30分の無料相談からお気軽にどうぞ。


