研修で見せていた、パン屋さんのビデオ
昔から、TOCの研修やコンサルをするときに、あるビデオを見せて考えてもらうことがありました。
焼きたてのパンを出しているパン屋さんの映像です。
お客さんの数に合わせて、焼きたてのパンをぴったり出していく。
そのためには、作る所から売る所まで、仕事がよどみなく流れていなければなりません。
まさに、TOCそのものなんです。
焼ける量と、焼くべき量は違う
そのお店には、もっとたくさん焼ける機械がありました。
でも、能力があるからといって、一気に焼くわけではありません。
焼きたてを食べてくれるお客さんの数に合わせて、出せる分だけを焼く。
それで十分なんです。
もし機械の力いっぱいに焼いたら、どうなるでしょう。
お客さんの数は変わらないので、パンは棚に並んだまま冷めていきます。
焼きたての価値はなくなり、売れ残りは廃棄になる。
材料も、手間も、電気代も、そのまま損になってしまいます。
TOC(制約理論)を生んだゴールドラット博士は、小説『ザ・ゴール』の中で、「人や機械を動かすこと」と「その働きが本当に役に立つこと」は違う、と繰り返し伝えています。
流れ全体のペースを決めているのは、いちばん詰まっている所です。パン屋さんでいえば、焼きたてを買ってくれるお客さんの数です。
それ以外の所がどれだけ頑張っても、出てくるのは「つくりすぎ」だけなんです。

機械があるからといって、作っていいわけではない。
私は、そういう研修をしていました。
AIで、「できること」が一気に増えた
いま、AIがいろいろなことをできるようになりました。
資料づくり、文章、画像、動画、アプリ、業務の自動化。
少し前まで外注するしかなかったことが、手元でできるようになっています。
これは、パン屋さんにとんでもなく性能の良い機械が入ったようなものです。
これまでの仕事の前提が、大きく変わります。
けれども、前提を見直さないまま仕事を進めていくと、どうなるか。
作れるものを、作れるだけ作ってしまう。
使われない資料、だれも開かないアプリ、確認だけが増える自動化。
会社全体が「オーバースペック」になっていくのは、目に見えています。

試してみることは、大事
誤解のないように言うと、新しいことを試すのに反対しているわけではありません。
「こんな仕事もできるようになった」と、いろいろやってみること。
やれるかやれないか、1回やってみる。新しい機能を入れてみる。
これは、「自分には無理だ」という心のメンタルブロックを外すうえで、とても大切です。
いまのAIの進化は、とても速い。
実際に触ってみないと、気づけないことのほうが多いくらいです。
だから、試すことを否定する意味はまったくありません。
でも、お金は残っているか
ただし、それと「現場で、利益としてお金が残っているか」は、別の話なんです。
試して、できると分かった。
そこで次に考えたいのは、それが流れ全体のどこに効くのか、ということです。
いちばん詰まっている所が楽になるのか。
お客さんに届くものが増えるのか。
最終的に、手元にお金が残るのか。
ここに効かないなら、どれだけ見事にできても、棚で冷めていくパンと同じです。
「できる」と「やっていい」は、違うんですよね。
試す場と、気づく場をつくりたい
だからこそ私は、経営者のみなさんが、いろいろなことを試せる場、そして気づきを得られる場をつくりたいと思いました。
それで、リアルのAI研修をたくさんやっていこうと決めたんです。
実際に手を動かして「できる」を体験する。
そのうえで、自分の会社の流れに照らして「やっていいか」を考える。
この2つがそろって、はじめてAIが利益につながっていくのだと思います。

このホームページで何かに気づいてもらったり、Instagramで理解を深めてもらったり。
そんなきっかけになれたら、うれしいです。
あなたの会社のAIは、焼きたてを、ちょうどいい量だけ焼けていますか?


