タブレットを入れても、古いルールが残っていた ― 介護施設で「チェンジ・ザ・ルール」セミナー

「タブレットを入れても、古いルールが残っていた」の題と、「変わった前提探し」の付箋
この記事の結論
ツールを入れても、今の仕事の中に古いルールが前提として残っていると、本当の力は出ません。「変わった前提探し」で出てきた問題を、出来事ごとに「何を、何に、どのように変えるか」で出し合いました。常に改善し、現場で話し合い、期限と目標を決める。その真ん中には心理的安全性が必要です。
この記事でわかること
  • 「変わった前提探し」で、ツールを入れたための不具合や余計な仕事、情報共有の不安、小さなミスが出るわ出るわ
  • リーダーたちの声で、時間ではなく出来事で整理し、「情報量が多すぎる問題」「データを転記する問題」の2グループで取り組んだ
  • 改善するとボトルネックが移る。常に改善し、現場で話し合い、期限と目標を決める真ん中に、心理的安全性が要る
目次

昨日、ある介護施設で「チェンジ・ザ・ルール」のセミナーを行いました。

午前は、ワイガヤと動画と「変わった前提探し」。
午後は、2つのグループに分かれて3時間。
まる1日、現場のリーダーのみなさんと一緒に考えました。

「この漫画と同じだ」から始まった

前半は、アイスブレイクも兼ねて進めました。
介護施設でデータやツール、AIを利用したときの「あるある場面」を、2つの漫画ストーリーで見てもらったんです。

漫画1「LINEで送ったのに」:LINEグループで食事の変更を送ったのに、187件の中に埋もれて伝わらなかった、という介護現場の4コマ×4
漫画2「タブレットが来て、書くところが増えました」:タブレット・紙・スプレッドシートの3か所に書くことになり、便利になったはずなのに早く帰れない、という介護現場の4コマ×4

「こんなのあるよね」という雑談も含めて、ワイガヤで進めました。
すると、いろいろな言葉が出てきました。

  • 「この漫画と同じだ」
  • 「同じことを2度行っている無駄な仕事がある」
  • 「古いルールがあって、これは何のためにやっているんだろう」
  • 「結局タブレットを導入して仕事が増えたかも」
  • 「Wi-Fiが切れるんだよね」

どれも、現場の声そのものですよね。

「まだ本当の力が出ていない」

ワイガヤが終わったら、3分間の「チェンジ・ザ・ルール」の動画を見てもらいました。
ゴールドラットの4つの問いなどの動画です。

見たあとに感想を出し合ってもらうと、こんな声が聞こえてきました。

  • 「ツールを入れたけれど、まだ本当の力が出ていない」
  • 「本当だったらこの情報をもっとうまく処理すれば活用できるんじゃないか」

ツールは入った。
でも、仕事のやり方は前のまま。
そこに、みなさん自身が気づき始めていたんです。

ゴールドラットの4つの問い

ここで、動画に出てきた「ゴールドラットの4つの問い」を紹介しておきます。
新しい技術を入れるときに、自分たちに投げかける問いです。

  1. その技術の、本当の力は何か
  2. その技術は、どんな限界を取り除くのか
  3. その限界があった間、私たちはどんなルールで仕事を回してきたのか
  4. では、どんな新しいルールに変えるのか

たとえばタブレットなら、その場で記録して、みんなで同時に見られることが力なのかもしれません。
そうだとすると、紙に書いてあとで転記する、というやり方は、その限界に合わせたルールだったことになります。

ツールだけ入れて、ルールを変えない。
すると、古いルールと新しいツールの両方を回すことになって、「仕事が増えたかも」となってしまうんですよね。
3つめの問いで見えてくるのが、この「古いルール」なんです。

ゴールドラットの4つの問い(本当の力は何か、どんな限界を取り除くのか、その限界の間どんなルールで回してきたか、どんな新しいルールに変えるか)と、ツールだけ入れてルールを変えないと仕事が増える、という図

「変わった前提探し」で、出るわ出るわ

午前の残り1時間半は、「変わった前提探し」のワークショップです。

ツールを入れたために、今起きている不具合や余計な仕事。
情報が共有されているか、いないかの不安。
事故というほどではないけれど、起きてしまうミス。

これが、出るわ出るわ。

そのうちに、こんなことが話題になってきました。
「今やっていることの中に、古いルールが前提として残っているから、新しいルールが必要なのかな」

「変わった前提探し」で出てきた、ツールを入れたための不具合や余計な仕事、情報共有の不安、事故ほどではないミスと、その奥に古いルールが前提として残っている、という図

時間ではなく、出来事で整理する

午後は、これを含めて、前提が変わった業務フローを作る予定でした。

ところが、リーダーたちから声が上がったんです。
「時間で整理するよりも、出来事で整理した方が分かりやすい」

そこで、業務フローのワークショップは一旦やめました。
大きく2つのグループに分かれて進めることにしたんです。

  • 情報量が多すぎる問題
  • データを転記する問題

それぞれの状況への対策や提案を出し合いながら、3時間じっくり取り組みました。

対策は、「何を、何に、どのように変えるか」というルールの下で出し合いました。
そして、お互いのグループで意見を交わしながら、ブラッシュアップしていきました。

時間ではなく出来事で整理し、「情報量が多すぎる問題」と「データを転記する問題」の2グループで、何を、何に、どのように変えるかを出し合った図

私の問いは、ただ1つ

私が投げかけた問いは、ただ1つです。

「それをいつまでに、どのように伝えるんですか」

この問いで、セミナーは終わりました。

TOCで言われることが、目の前で起きていた

ここで、TOCの見方を1つ入れておきます。
TOCでは、ボトルネックを解消すると、詰まりは次の場所に移ると考えます。

当日の現場では、TOCでよく言われることが、そのまま目の前に現れていました。

  • 動きの激しい中で、前提が狂うこと
  • 改善をやると、また新たな問題が発生して、ボトルネックが移ること
  • どうしても人間関係の摩擦で、物事が滞ること

だからこそ、常に改善をすること。
常に現場で話し合って、分かりやすいデータにし、期限と目標を決めてやっていくこと。

その真ん中には、心理的安全性が必要になってくる。
そう感じた1日でした。

常に改善する、現場で話し合って分かりやすいデータにする、期限と目標を決める、の真ん中に心理的安全性がある図

TOCと感情知能(EQ)を、同時に

実は、午前中はそれだけではなく、感情・EQの話も取り入れていました。
この施設では、TOCと感情知能(EQ)の取り組みを同時に行っているんです。

ワイガヤの中でも、こんな話が出ていました。

  • 「感情を抑えるのではなくコントロールする」
  • 「自己パターンの認識(だからこうなんだよね、と気づくこと)」
  • 「この3ヶ月やってみたことで、相手の立場を考えて伝えるようになった」

「チェンジ・ザ・ルール」のセミナーではありました。
でも、その根底にある人の動きや接し方を、力強く改善している。
これは、そんなチームの実践の1つなんです。

前のブログ「「知らない」の手前にも、山と川がある」でも、変わる前提を1枚ずつ剥がしていく話を書きました。

動画でも解説しています

このブログの内容を、ワビタン(我孫子)が約4分半の動画で解説しています。

あなたの職場では、どんな古いルールが、今も前提として残っていますか?

※AIの進化はとても速いため、少し前のブログでは前提が変わっていたり、今では当てはまらない内容になっていたりすることがあります。すべての記事を常に最新に保つのは難しいため、取り入れるときは最新の情報もあわせて確認してください。ここでは、私自身が実際に試して効果があったことを、その都度お届けしていきます。なお、TOC(制約理論)の基本の考え方は、AIが進化しても大きくは変わりません。

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